s_harakunの日記

25歳無職の日記です。

「機関車」はしゃべらないけど「きかんしゃ」はしゃべる

アニメ「きかんしゃトーマス」を見ているとき、視聴者は、蒸気機関車に顔が付いていてそれがべらべらと流暢にしゃべったところで驚いたりしない。なぜなら、そのことについて、「きかんしゃトーマス」内の世界の誰も言及しないからである。あえて触れないようにしているのか、それとも、本当に誰も疑問にすら思っていないのか、わからない。だが、どちらにせよ誰も言わないのだから、こちらから無粋にも突っ込んだりはしないのである。私は空気を読む。

ところが。

130話「いわのボルダー」で事件は起こった。

線路の脇にある山の頂上に、不自然なほどまん丸な岩があって、近くの山を削っていると、その岩がなんだかこちらを監視しているような気がするという。

そこでトーマスの仲間の一人(一台)「きかんしゃパーシー」が、こんなことを言うのである。

 

「監視、だって? 岩には目がないじゃないか!」

 

どきり、とした。

最初、なんで自分がどきりとしたのかわからなくて、しどろもどろになって、それから、やっとのことで突っ込みのセリフが頭に浮かんできた。

「機関車にだって、目や、口や、鼻なんかないはずじゃないか! 人のこと、というか、岩のこと言えないでしょ!」

しかし、それはこちらの世界の常識をもってしか成立しない突っ込みなのである。やはり、「きかんしゃトーマス」のみんなは、「機関車というものは顔がついていてしゃべるものである」という常識の中に生きているのだろう。だから、あんなセリフを平気で言えるのだ。

しかし私には、パーシーが、つい「世界のひみつ」を口にしてしまったようにも見えた。「パーシー……それは言わない約束だったじゃないか」というトップハム・ハット卿の悲しげな声が聞こえてくるような気がしたのである。

 

というのはすべて妄想である。「きかんしゃトーマス」世界のあれは「機関車」によく似ているが、まったく別のもの、「きかんしゃ」という存在なのだ。「機関車」はしゃべらないけど、「きかんしゃ」はしゃべる。それが真実であって、「世界のひみつ」なんてものは、どこにもないのである。きっと。